わらじ祭り

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波切の信仰と神事

伊雑宮の御田・わらじ祭り・潮かけ祭り

3つの祭りで一柱の神様の一年

この3つの祭り、一見別々の祭りに見えますが、1柱の神様が共通しています。

伊雑宮では、玉柱屋比売命、安乗神社、波切神社、立石神社では國狭槌神。船越神社では豊受大神。この神様達、実は同一神です。伊雑登美神は「伊雑の浦から登る美しい神」で豊玉姫の事です。玉柱屋比売命は「星の柱の夜の姫」=「天の川のお姫様」という意味になり、七夕の織り姫こと、弟棚機と言う事で同一神が豊受大神、國狭槌神となります。更にこの神様の同一神が市杵島姫命で、玉柱屋比売命は空の上の神様、國狭槌神は陸の上の神様、市杵島姫命は海の中の神様という具合になります。

つながる信仰・八大龍王と文殊菩薩の信仰に合わせると・・

各々の神事を繋ぐと、見事に神様の1年となります。

初夏、伊雑宮の上空へ的矢湾から織女星(玉柱屋比売命)が登って来ます。伊雑宮では天照大神を表す「太一」の大団扇を立てます。太一は星の世界では北極星を表し、天御中主神ともなります。天照大神の化身が天御中主神と言う事になります。太一の団扇が田に倒されることにより、天上世界が伊雑宮の水田に移ります。玉柱屋比売命の住まいが天上から水田へと移るわけです。

そして稲は生長し、穂は刈り取られ、伊勢神宮へ奉納されます。

ところが、このままでは玉柱屋比売命は天上に戻ることが出来ません。次ぎに来る祭りがわらじ祭り。御田とほぼ同時期、平安時代末期に始まったとされる祭りです。

藁で、一畳の大きさの草鞋を編み、海に流します。この草鞋の大きさは伊雑宮に登ってくる一尋鮫の大きさと同じになります。草鞋は沖に流され、海中に没します。玉柱屋比売命は七夕の織り姫でもあるので、七夕の笹を海に流す風習と同じです。海に流された次ぎの祭りが潮かけ祭り。わらじ祭りより50年程度あとに始まった祭りです。祭りの祭日は前後してしまいますが、この神様は海の中に行くと市杵島姫命と名前を変えます。国狭槌神の別名が妙吉祥で、吉祥天と同一視される神様です。八大龍王の信仰では八面天女(吉祥天+弁財天)に当たり、弁財天は市寸島比売命となります。向かう先は海の中の龍宮。そして、また初夏が訪れると、神様は星となり、伊雑宮へと戻ることになります。

そして、わらじ祭りの際に使う藁をその昔、提供していたのが豊玉姫の住む立石神社を信仰している立神地区の方たちでした。この地区のお寺、本福寺、少林寺の2ヶ寺も波切と同じ臨済宗妙心寺派です。

太一の大団扇を男たちが倒します 早乙女が田植神事を行います

文殊菩薩の信仰を外して平安時代の信仰に合わせると・・意外とすっきりする

玉柱屋姫命は倭姫命世記には登場しません。登場するのは伊雑登美神(豊玉姫命)。

文殊菩薩の信仰を削れば、繋がりはかなり単純になります。しかも、出発地点が大滝になります。

わらじ祭りの大わらじは鮫の大きさに合わせています。豊玉姫の化身が鮫。御田で水田に水を引く仕事を始め秋に、水田で刈り取られた稲を御神体に鮫の姿になって海に帰るという事になります。

豊玉姫命・七本鮫の正体

御田の際に語られる民話が、七本鮫の民話。

安産の象徴である鮫の信仰

豊玉姫命と一緒に川を上ってくる鮫で、うち6本は磯部六クの祖と言われています。

豊玉姫命は安産の神でもあるので、志摩の子供達は「磯部の川で拾われた子」と言われます。つまり、豊玉姫命が志摩の子供達の母神と言う事になります。そして、この豊玉姫命と一緒に川を上ってくる鮫が天白神です。

志摩では、日天八王子社または豊受社と必ず一緒に祀られています。

七本鮫の通り道にしか祀られていない天白神

鮫たちが通る海と天白神

豊玉姫命は最初、夫婦で大滝の祠に住んでいました。この豊玉姫命の通るルートにあるのが大王崎と安乗崎。波切神社と大王島の間には鳥居と参道があると言われ、また安乗神社と大倉島の間にも鳥居と参道があると言われています。この参道を豊玉姫が通ってくるのですが、この参道近くに祀られているのが天白神。波切では星神で北斗七星、船越神社では北斗の木、安乗神社では隕石を天魄として祀っています。この天白神には2つの姿があり、一つは北斗七星、もう一つは昴。海中にいる姿が昴で海上が北斗七星という具合です。

天照大神が太陽神であると同時に北極星でもあるように、この神様達も2つの姿を持っています。

この北斗七星は比治の真名井の民話に登場し、豊受大神の7人の姉に当たります。

伊雑宮の民話は更に続き、漁師に一本殺されてしまいます。漁師の家には災難が降りかかり、1ク消え去ることになります。

この民話、ちょっと視点を変えると、神話の一節だと言うことに気がつきます。

妹の豊受大神は織姫ですから、同じ仕事をしている姉7人も織姫です。天御中主神の同一神が天照大神ですから、この姉7人は天照大神の元で機を織っていた事になります。

これが、三重県の北勢地方で天白神が機織りの神様として信仰されていることに繋がります。

ここで、漁師を海の神で有る素戔嗚尊に置き換えると七本の鮫が六本に減った事に繋がります。

この素戔嗚尊が乱行騒ぎを起こし、天照大神の機織り小屋で働いていた娘が1人死にます。これが欠けた鮫に相当し、神々から素戔嗚尊は酷い目に遭います。

倭姫命は豊玉姫命と鮫たちに導かれ伊雑宮の地に到達します。姉達が導き、妹が出迎えたというわけです。

 

神代七代の神々と皇祖神と伊雑宮

ちょっと目を転じてみると、出発点、通過点、終点には必ず日天八王子社が祭られています。

稲の神様である國狭槌神が同じ稲の神、豊受大神、三穂津姫命などと同一視され。根源の神は他の同じ神と同一であるという造化三神の考え方がそのまま反映されています。

全ての神が、国の創造、成り立ちに関係する天つ神と天忍穂耳尊、瓊々杵尊、彦火火出見尊、鵜葺草葺不合命の皇祖神で構成されています。龍宮の使いと言うよりは、国の成り立ちを司る神々と、伊雑宮の神様の夫からの使いと言うところが本当の様です。

豊玉姫命の仕事と山幸彦

大滝の祠に住んでいた豊玉姫には夫があり、山幸彦(彦火火出見尊・日天八王子社の一柱)と言います。この夫婦は後に転居し、阿児町の立石神社に居を移します。

この、豊玉姫のお仕事はと言うと、水田に水を引くこと。

夫の山幸彦との問答で、山幸彦の水田に潮満玉で水を引けることを告げています。彦火火出見尊(山幸彦)も自ら水田を作っていた神様でもあったわけです。

豊玉姫命のもう一つの仕事は真珠の神様

この神様、英虞湾から的矢湾へと共通する神様です。

奈良時代、この神様の元で漁師達が採っていたのがアコヤガイから取れる真珠です。

大滝に居を構えていましたが、この大滝付近で捕れた真珠が奈良の都へと運ばれていきました。

奈良時代の木簡には実に1000個もの真珠が送られたと記録があります。

因幡の白兎と水田の仕事始めを告げる白鷺と和邇

因幡の白兎も古事記に登場する話ですが、古事記には稲場と登場します。因幡に関する記述は見当たりません。その昔、白兎を含め兎は鳥の鷺に例えられていました。兎を数える単位が「羽」と言うのはここから来ています。伊雑宮の白鳥伝説。白鳥はこの地方まで来ませんので、この白鳥は白鷺の事と容易に想像がつきます。この白鷺、ちょっと生態を考えると面白いことが見えてきます。

水田(稲場)で田起こしをすると必ず舞い降りるのがこの白鷺。水田での農作業の仕事始めを告げる鳥と言う事になります。伊雑宮の縁起に白鳥が1つの稲穂を運んできたことが始まりとされているのは農作業を告げる白鷺が舞い降りたという事になります。

この白鷺、農作業中、水田に水を張るとき一度追い出されてしまいます。田植えが終わり、水田にドジョウや小さな虫が戻ってくると再び戻ってきます。

この部分、ちょっと見かたを変えると、白鷺は水田に水を張る神、豊玉姫とお付きの和邇に追い出されてしまいます。白鷺を因幡の白兎に例えると、白兎は和邇の集団に追いかけ回されて逃げてしまう事になります。

さらに和邇は海の神の使いですから、津波、高潮などで水田に海水が入り込むと、白鷺は餌が無くなり飢えてしまう事になります。羽根などが抜け落ちてしまう事になります。和邇に毛をむしり取られたというのはこの部分ですね。さらに、豊玉姫は海の中の住人です。補陀落渡海では根の国も同じですから、同じ出身の須世理姫が苦手というのもこの事から来ているのかもしれません。